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Inserted: 03-31-2001

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 Die Bahnwelt STORY (c)1992 GLODIA
 #1 Forecs 廃都フォレクス II. −軍事基地−


そこは、物々しい雰囲気に包まれていた。
金属特有の冷たい色をした壁と床。
天井には、むき出しの配線が通されている。
今、私達のいる場所は、少し広い空間になっていて、
ここから何本かの通路が伸びている。
通路の入り口には縦長の電光掲示板が設置されている。
表示は無い。黒い板面が鈍い光を放っているだけだ。
いくつかあるうちの一つの通路に進もうとした時、
掲示板が、突然、光り出した。
掲示板の赤い光が映し出したものは顔だった。
頭蓋骨を連想させるようなその顔は、怒りの表情をたたえていた。
「いい趣味してるよな」
カノールは、露骨に嫌な顔をして、吐き捨てるように言う。
…、そうかな。怒ってなきゃ、結構インテリアとして通用しそうだけど。
それはともかく、そいつはただ表示されただけで他には何も起こらなかった。
そこに留まっていても仕方ないので、先に進むことにした。
と、風を切るような音と共に光の銃弾が飛んでくる。
通路の先には、ロボット達が待ち構えていた。さっきよりも、攻撃は激しい。
銃で応戦しながら先へ進む。進んでいくと、シャッターで閉じられた場所を見つけた。
扉の上には、赤いランプがせわしく点滅を繰り返している。
この中に何か重要なものがあるんだろうか?
シャッターは、近づくと自動的に開いた。中は部屋になっているようだ。
銃を構え、中を伺う。特に何も無いようだ。慎重に中に入る。
「ここにも、ロボットは入って来れないようね」
私は、部屋の入り口まで来て、Uターンしていくロボットを見ながら言った。
「ここは何かの軍事的な施設みたいだな」
一息ついてから、カノールが言った。
部屋の隅には、資材やらコンテナが置いてあったような跡がある。
「じゃあ通信装置とか情報端末とかありそうね」
私は、そう言って微笑んだ。まだ生きていれば、重要な情報源になる。
辺りを見渡してみる。端末らしきものは無かったが、例の棚が置かれている。
「また、良いものが入ってるんじゃない?」
「そうだな。行ってみよう」
私達は特に警戒もせずに棚に近づいていった。
が、それは甘かった。突然、棚の後にある壁が持ちあがった。
そして、その中から出てきたのは、銃砲。
壁一面に、ずらっと並んだ銃砲から容赦無く弾が撃ち出される。
「なによ、もう!」
銃砲に向けて銃を連射する。なかなか壊れない。
じれったくなった私は、弾を何発か受ける覚悟で棚へ突進した。
シャッターが開き、中を覗く。
…、中を見て、私は、悲鳴をあげた。
驚いてカノールが駆け寄ってくる。
「どうした?!ラーニア!!」
カノール見て!!これだけしか入っていないわ!」
…。棚の中には、エネルギーパックが数個入っているだけだった。
カノールは、肩を落とし、再び銃砲への攻撃を始めた。

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ズガーン。と、派手な爆発音がし、最後の銃砲が砕け散った。
突然の攻撃にはまいったが、なんとか、全ての銃砲を破壊する事が出来た。
収穫がエネルギーパックだけだったのは残念だが、
ゆっくり休める部屋になったということで、良しとしよう。
にしてもだ、ラーニア、あの悲鳴は止めてくれ。
大変な事が起きたかと思ったじゃないか…。
俺は、たった今破壊した銃砲を見る。
ぱっと見た限りでは、他の壁と区別がつかなかった。
他の場所にも設置されているのだろうか。
「なんてこった」
「そうよ。何か強力な武器があると思ったのに!」
頬を膨らますラーニア。俺と考えてる事は、違うようだが。
「ともかく端末だ。他を探してみよう」
「そうね」
釈然としない顔ながらも、ラーニアはそう答えた。
俺達は、部屋を出て、通路を進んでいく。
途中ロボットに何度もも邪魔されたが、銃で切り抜けていく。
そうしていくうちに、壁に取り付けられた端末を見つける事が出来た。
出番とばかりに、ラーニアは、キーを激しく叩いた。


オンライン不良


ディスプレイには、付近の地図と現在地が表示された。
が、その後に表示された文字は、それだけだった。
「あーあ。回線いかれちゃってるみたいね」
そう言いながらも、ラーニアは、キーを叩く手を緩めない。
「ローカルでも駄目なのか?」
回線を通して情報を引き出す事は無理だとしても、端末に何か入っているかもしれない。
「なんか、物理的に認証するものが必要みたいね。これ以上は駄目だわ」
ラーニアは、肩を落とした。
「仕方ない。他の端末を探そう」
どうやら、この辺りには、もう端末は無いらしい。
最初の広間に戻り、別の通路を進んでいく。
行き止まりになっているところに、またあの、赤い不気味な顔が映し出された。
しかも、今度は、ケタケタと笑っている。
「何が可笑しいんだ!」
あまりにも不愉快だったので、顔に向かって銃を放つ。
銃弾を浴びた顔は、怒り顔になり、しばらくして、消えた。
「ちょ、ちょっと、カノール?」
…いや、あまりにもうっとうしかったもので。
しかし、ラーニアは、なんで平気なんだ?
ハゲで骸骨のようなオヤジ顔、それも赤一色なんてものを見たら、
誰でも気持ち悪くなると思うが…。
前から、度々思っていたけど、彼女の感覚って変なのでは。
しげしげと、ラーニアの顔を見てしまう。
「ん?どうしたの?」
不審に思ったか、こちらを睨みつけてくる。
「いや、何でも無い」
そう言って、俺は、来た道を戻っていった。
「ちょっと、待ってよ!カノール!!」
ラーニアは、叫びながら俺のあとを追ってくる。

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オンライン不良

非常アクセスモード
IDカード LEVEL 1
発行致します

「やった!ラッキー!」
端末脇のスロットから出てきた カードを手に取って、私は言った。
「何がどうなってるんだ?」
カノールは、難しい顔をして、カードを指差す。
「システムエラーで、プログラムが変に動いちゃったんでしょ」
私は、カードをひらひら振りながら答えた。
「いいかげんなシステムだな」
やれやれといった顔で、カノールは言う。
長年ほおっておかれたのでおかしくなったのだろうか?
まあ、何にせよ、こっちにとってはありがたい。
どの端末もオンライン不良で情報は引き出せなかった。
今回の端末もオンラインは駄目だったが、カードを手に入れることが出来た。
私は、早速 IDカードをディスプレイの方のスロットに入れる。


オンライン不良

LEVEL 1 サポートモード

エネルギーパック A
エネルギーパック B
薬用元気回復ドリンク

オンライン不良は相変わらずだが、どうやら、物資を補給できるようになったらしい。
でも、エネルギーパックは良いとして、薬用元気回復ドリンクって?
誘惑にかられ、薬用元気回復ドリンクを選択する。
ガチャ…ゴン。
端末下に口が開き、怪しげな瓶が出てくる。
「なんだこりゃ、ユンゲル桑田 − セブンタイムズスペシャル
瓶を取り上げ、カノールは、ラベルを読み上げる。
「ドリンク剤みたいだけど…、飲めるのかしら?」
瓶の中には、液体が入っている。スキャンしてみたが、有害な物質は含まれていない。
毒ではなさそうだが、名前が…、怪しい。
怪しいが、戦闘で体力を消耗していていたので、駄目もとで飲んでみる事にした。
…うー、苦い。害は無いとはいえ、飲んだ事をちょっと後悔した。
でも、気のせいか、体力は少し回復したようだ。
「体力は回復するけど、健康にはなれそうにないわね」
カノールも、渋い顔をして、私の言葉にうなずいた。
「でも、これで少しは楽に進めるようになったな」
私達は、意気揚揚と進撃して行ったが、事はそんなにやさしくなかった。
進むにつれ激化してくる攻撃。
砲台にキャスターをつけたようなロボットは、四方に攻撃をしてくるし、
目玉を巨大化したような黄色いロボットは、素早く動きこちらを攻撃してくる。
狭い通路では、何度と無く敵に囲まれ、窮地に追いやられた。
それだけではない。あの壁から飛び出す銃砲も至る所に設置されていた。
避けるひまなく、いくつもの銃弾を浴びてしまう。
これでは、シールドジェネレータの限度を超えてしまう。
端末で体力回復出来るとはいえ、更に強力な武器を見つける事も出来ない。
私達は、手薄な装備まま、先に進んで行く。

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広い空間の中央にぽつんと設置されている端末。
俺達は、その端末の前に立っている。
「何だ? 非常回路ってのは。変なものに触ってしまったんじゃないのか」
俺は、焦った。覗きこんだディスプレイには、こんなメッセージが表示されていた。


オンライン不良

緊急アクセスモード
非常警戒回路
接続致します

端末操作をしていたラーニアが、こちらを振り返って答える。
「大丈夫。中央の防衛装置が全滅した場合に、緊急回路を発動させるものらしいのよ」
特に何も起こらないようなので、俺達は更に先に進んで行く。
敵の攻撃は相変わらず激しい。囲まれないように通路を駆け抜けて行く。
端末を見つけるたびにアクセスしてみる。
先ほどと同じように緊急アクセスモードになった端末もあった。
どうやら、非常警戒回路 も接続されたようだ。
「何かしら、あれ?」
非常警戒回路 を接続した端末の向こうに、
目玉のロボットが何体か固まっている。
近づけば、すぐにでも攻撃してきそうな感じだ。
「なにか、ステキなものを護ってるのかしら?」
「さあな。最初の部屋での一件もあるし…」
俺が言い終わらないうちに、ラーニアは、攻撃態勢に入っていた。
目玉ロボットが、一斉にこちらを攻撃してくる。
素早い動きに翻弄されながらも、一体づつ破壊していく。
そして、その背後には、またしても棚が置いてあった。そして、その後ろの壁には。
「ちっ。また銃砲か」
「こんどこそ、宝物よ、きっと」
根拠の無い事を言いながら、棚に突進して行くラーニア
「駄目、開かないわ。銃砲がロックになってるみたい!」
…またか。俺達は、仕方なく銃砲を攻撃する。
しばらくして、銃砲は全滅した。
何時の間にか、ラーニアは、棚の中を覗いている。
そして、また、悲鳴。
カノール!見て!!」
「なんだよ。またエネルギーパックか?」
「違うよ、結構すごそうよ。この武器」
棚の中には、いかにも威力のありそうな武器が収められていた。
試し撃ちをしてみる。エネルギー弾が前方3方向に向かって撃ち出される。
「確かに。強力だな、こいつは」
俺達は、興奮した。これならば、これから先、今までより楽に突破できるだろう。
と、思ったのだが、
「な、何よ!この猛攻撃!!」
ラーニアが叫ぶ。が、銃を撃つ手は緩めていない。
細い通路に入った途端、あの、目玉ロボットが攻めてきた。
これだけでも十分脅威だったのだが、あろうことか、壁が跳ね上がり、銃砲が出現する。
銃砲の攻撃と目玉ロボット両方に阻まれ、思うように先に進めない。
それでも、銃を連射し、なんとか通路を駆け抜ける。
「何とか…、切り、抜けたな」
はあ、はあ。息を荒くし、俺は言った。
幸い、通路を抜けた、ここまでは敵は追ってこない。
それに、近くに部屋もある。休むには丁度良い。
「やれやれだな」
俺は、部屋に入ってすぐ、壁にもたれかかった。
「あ、この部屋にも端末があるわ」
ラーニアは、端末に向かって歩いて行った。

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それにしても、とんでもない攻撃だった。こんなのが、まだ続くのかしら?
端末にアクセスしながらそんなことを考える。


防衛システム 100 %
作動中

付近の地図とメッセージが表示される。
「防衛システムって、ここに何かあるのか?」
カノールがこの部屋の右にある広間を指差した。
その先には、部屋の入り口がある。制御室か何か。重要な場所のようだ。
けれども、えーっと、広間にある、この灰色の四角ってもしかして…。
私達は、向き合い、そしてため息をつく。
十分に休んでから、私達は、地図にあった広間へと進む。
敵は一匹も出てこない。何か、あまりにも静かで怖い。
「嵐の前の静けさ、ってとこか」
ぼそりと、カノールが言う。もう、縁起でもない!
そして、私達は、広間の入り口のところまで来た。
壁に身を隠し、中の様子を伺う。案の定、そこには多数の砲台が設置されていた。
その上、その周りをロボットが巡回している。銃を持つ手に汗がにじむ。
呼吸を整えた後、覚悟を決め、広間に突入する!
カノールは、さっき見つけた武器を連射し、砲台を一つづつ破壊していく。
私は、四方に光線を発射する武器で、周りの敵を倒して行く。
エネルギーパックがどんどん消費されていくが、そんな事を気にしている場合ではない。
大半の砲台を破壊し終えたところで、また、厄介な敵が現われた。
筒状のボディに、アーモンドのような形をした頭。足はキャスターのようになっている。
そいつが、すーっと、こちらに近づいて来る。
始めは、前後左右にしか攻撃をしていなかったので、さほど脅威ではなかった。
だが、近づいた途端、らせん状にエネルギー弾をばら撒いてきた。
たまらず、何発か受けてしまう。これまでの戦闘で消耗して体力が続かない。
仕方なく、さっきの部屋まで撤退して体力を回復する。
「とんでもない、攻撃ね」
「でも、あと一息だ」
そうね。私は、頷いた。もう少しで道は拓ける。
気合を入れなおし、再び広間に向かう。残るはあのらせん攻撃だけだ。
さっきは分からなかったが、何と4体もいて、道をふさいでいる!!
躊躇していても始まらない。私達は、攻撃を受けながらも、懐に飛び込み銃を連射する。
満身創痍ながらも、敵を残らず倒す事が出来た。
私達は、その先にある扉に向かって行く。が、扉は開かない。
扉の横にある画面には、マスターカードを提示するよう表示されている。
マスターカードって、それじゃないのか?」
私の持っている IDカードを指差す。
「どうやら、もっとレベルの高いカードが必要なようね」
表示を見る限り、そう言う事らしい。あーあ、また物探しか。
さっきの端末に何か情報があるかもしれない、と言う事で、私達は再度部屋に戻った。


防衛システム全滅

今までと同じ手順でアクセスしてみる。
砲台とロボットを倒したからだろうか、さっきと表示が違う。
さっき繋いだでいった非常警戒回路が開放されていき、
そして、最後にこんな表示がされた。


緊急アクセスモード
警戒装置全回路接続中
IDカード LEVEL 3
無条件発行致します。

そして、スロットから、新たなカードが発行される。
「これで、扉の先に進めるわよ、きっと」
カードの表には、古代語でマスターカードと書かれている。
これで間違いないだろう。私達は、再び扉のところへ向かっていった。

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俺達の目の前には、大きな端末が鎮座している。
大きさが、今までのものとは桁違だ。画面も3面に渡る大きなものだ。
カードをスロットに差し込むと、端末に光が灯る。


IDカード 確認
オンライン スタート
アクセス有効

「どうやら、この端末はまともに動きそうだ」
俺は、安堵の息をついた。
「ちょっと待って、私がアクセスしてみるわ。
えーと、マザーコンピュータとの接続は…うん、どうにか使えるわ」

ラーニアは、キーボードを続けて叩き始める。

…あの、通れなかった扉は、新しい ID カードで、通過できた。
扉の向こうもちょっとした広間になっていた。
そこには、更に強力な武器が置いてあった。今後の事も考えて頂戴していく事にした。
さっきの戦いで、これがあればもう少し楽だったのだが…、仕方ない。
その先の入口を入ると、かなり広い部屋に出た。
自動で動く床に乗っていくと、やがて、立派な設備が見えてきた。
それが、この巨大端末だった。

「まずは、この都市について情報をサーチしてみるね」
アクセスは、順調なようだ。瞬時に検索結果が表示される。


聖都フォレクス
アズベルン軍事基地及びエルボア神殿を抱え、
施政・軍政を司るアズベルン軍事基地は、
兵器の補給、生産を主目的とする。
エルボア神殿には、評議会と都市の総ての機能を司る
マザーコンピュータが設置される。

「なんだって!?神殿にマザーコンピュータか」
神殿と言えば、非科学的なイメージがあったのだが。ちょっと意外だ。
「そうね、私たちには違和感があるけど、都市が機能していた時代には、
施政者の庁舎や議事堂として利用されていたみたい」

ラーニアが、詳細情報を見ながら言う。
「なるほどね」
この世界では、高度科学文明こそが崇拝の対象になっていたのだろう。
「おっと、感心している場合じゃない。あのラーカイアっていう船のことや、
ヴェルビアスとかいうものについて調べてくれないか。
ゲーリー教授が目の色を変えるほどのお宝だ。
ついでに、この陰気な世界から帰る方法も見付けてくれるとありがたいね」

俺は、興奮して、一気にまくしたてた。
「随分簡単に言ってくれるわね。まぁ、頑張ってみましょ」
嫌そうな顔をしているが、ラーニアも興味津々なのだろう。
キーボードを打つ手に力が入っている。
「えいっ」
掛け声と共に、最後のキーを強く叩きつける。


情報アクセスは拒否された

が、端末コンピュータの答えは愛想の無いものだった。
「えーとぉ、なにこれ。そんなつれない事を言う機械はこうよ!」
ボカッ!ラーニアの拳が端末に炸裂する。


エルボア神殿ヴェルビアスを祭ったもの。
神殿のマザーコンピュータに直接アクセスせよ

ラーニアの鉄拳が効いたのか、改めて回答が表示される。
「そうそう、そういう前向きな態度って好きよ」
ラーニアは、上機嫌のようだが…。
「…しんじられない」
俺は、ぽそりと言った。
と、その時、急に画面が赤く光り始めた。続いてサイレンの音がけたたましく響く。
画面に警戒警報の文字が点滅する。
「な、なに、どうしたの」
ラーニアは、必死にキーボードを叩く。
だが、警報は止まらない。
代わりに、ディスプレイには、警報発令の原因が表示される。


警戒警報が発令されました。
正体不明の飛行物体が聖都フォレクス に急速接近中
スクリーンに投影します。

廃墟の映像が映し出される。廃墟の上に覆い被さるようにある巨大な飛行物体。
「あれは…」
ラーニアにも、俺にも見覚えがある物体。
「ああ、あれはゲーリー教授の戦闘艦だ。面倒な奴が出てきやがった」
図体がでかく、必要以上に銃砲を張り巡らしている無骨な戦闘艦。
忘れようにも忘れられない。こいつには、幾度と無く手痛い目にあわされた。
「いかん、やつら神殿に向かっているぞ」
艦首が、神殿を向いている。
「狙いは、やっぱりマザーコンピュータの情報かしら」
ラーニアが、心配そうに言う。
「さあ、それはわからないが、どっちにしろ急いだ方が良さそうだ。
神殿を破壊でもされたら大変だ」

何としても、マザーコンピュータの情報だけは抑えておきたい。


小型機動兵器が都市内部に多数侵入、
破壊活動を行っています。
さらに、正体不明の飛行物体はエルボア神殿に接近中。
第1級戦闘体制が発令されました。
フォレクス全市民は、最寄りの兵器集積ポイントに集結し
戦闘準備を始めてください。

恐らく、街全体の端末に、この情報が流れているのだろう。
「市民は戦えって言っても、ここの人たちはずっと昔に絶滅しているのに」
ラーニアが、寂しそうに言った。
そう、街には人の影は全く無かった。
「ああ、もはやこの都市を守るのはロボットとコンピュータだけだ。
守るべきものなど、すでに失われている」

言っている俺自信、何だかやりきれない気持ちになった。
だが、今は感傷にひたっている場合ではない。
「…急ごうラーニアゲーリー教授に先を越されるぞ」
俺達は、部屋の奥の扉へ向かう。
扉の先には、小さな部屋があり、その先には大きい扉があった。
扉の前に立つ。ここも、扉は自動的に開いた。
開いた扉から、眩しい光が差し込んでくる…。



Die Bahnwelt


to be continued ...
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