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Inserted: 09-03-2001

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 Die Bahnwelt STORY (c)1992 GLODIA
 #2 Bartimoor 地底都市バルティモア I. −地底洞窟−


妙に暗い場所に出た。目を凝らしてみる。周りの壁は凸凹している。
床は…、土?そう、土がむき出しになっていて、何も敷かれていない。
それに、この音。水…。水の流れる音がする。
ここは…、洞窟?
神殿の奥から、こんな所につながっているとは、ちょっと意外だ。
本当にこんな所を通ってバルティモアへ辿りつけるのだろうか?
そんな事を考えながら、一歩先へ踏み出したその時、シューッという音がした。
神殿には戻れないって事か…」
カノールは、閉じてしまった扉の方を見て言った。
そう、私達の出てきた扉は、堅く閉ざされてしまったのだ。
何にせよ、先に進む以外、残された道は無い。
「水の流れに沿って行けば、どこかに出るんじゃない」
気休めに、私は取り敢えずそう言ってみた。
「…どっちに流れているんだ」
カノールが返してくる。
「えっ」
…どっちだろう。
暗いので、どっちに流れているかは良く分からない。
「ま、まあ。道は一本みたいだし、先進もうよ」
私は、洞窟の奥のほうを指差して言う。
先に進んで行って分かったのだが、洞窟内は、思ったほど暗くはない。
洞窟の壁には所々蛍光灯が掛けられていて、辺りを照らしている為だ。
人工物があるってことは、バルティモアに通じているというのも
あながち嘘ではないか。
私達は、薄暗い中を慎重に歩いていく。
と、突然、奇妙な物体が灯りの下に出現する。
上半身がもげ取れた足だけがこちらに向かって歩み寄ってくる。
中途半端に照らされている為、やたら不気味に見える。
な、何?ここは、ホラー映画のアトラクション?
そう思った瞬間、銃の光線がそいつに命中する。
ズガーン!と、爆発音がしてそいつは吹っ飛んだ。
「ちっ。こんなところにもロボットがいるのか」
カノールは、毒づきながら更に銃を撃つ。
周りを見渡すと、「足」の他にも敵が集まってきている。
両生類を思わせる二足歩行の奴は、身体のどこからかエネルギー弾を放ってくる。
こちらに突進してくる溶岩の固まりみたいな奴らは、もう既に私達を囲んでいる。
ロボットなのか生物なのか良く分からないが、こちらに敵意を持っていることは確かだ。
私も銃を乱射して、そいつらを撃破していった。

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ロボットを撃破しながら、洞窟を進んで行くと、やがて行き止まりに出くわした。
目の前には、水が流れている。今までより幅は広く、水は勢い良く流れていっている。
流れの向こう側にも地面はあるが、すぐに壁があり、奥には続いていないようだ。
流れの底はそれほどでもないので、水に入ろうと思えば入って移動できる。
が、それは後回しだ。少し前に、別の方向へ続く道を見つけている。
どこに流れ着くか分からない水の中に入るより、
水につかっていない道を進む方が安全だ。
俺達は、引き返し、もう一つの道を進んで行った。
しかし、こちらの方も、さっきと同じく水流が道を阻んでいた。
「どうする?カノール
ラーニアが水の流れる先を見ながら問い掛けてくる。
とは言うものの、答えは決まっている。水に入るしかない。それ以外に道は無い。
「きゃっ!冷たいっ!!」
俺の無言の回答に観念してか、ラーニアが水に入る。
それに続けて俺も水に入った。長らく地下を伝ってきた水の冷たさが感覚を刺激する。
「っと。結構流れ速いな」
流れに足を取られ、転びそうになるのをこらえる。
水辺から見た時は、これほど速く見えなかったのだが。
「あっちに流れているようね」
ラーニアは、水の流れている方向を指して言った。
その先には、穴があって、水はそこに流れ込んでいる。
その穴は、立ったままでもなんとか通れる大きさだった。
俺立ちは、流されるようにして水の中を歩いて行った。
幸運にもロボット達は水には入れないようだ。
こんなところで攻撃されては、圧倒的不利だ。
穴は、それほど長くなく、またすぐに広い空間に出た。
流れてくる水が溜まって、池のようになっていて、地面が続いている。
広い空間の先は、さらに奥へと道が続いているようだ。
「やっぱり、水の中は落ちつかないね」
そう言ってラーニアは、水から上がった。
水から上がるところを狙ってきたロボット達がこちらに近づいてくる。
そいつらを撃ちながら、更に奥へと進んでいった。

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水から上がった私達が、またしばらく歩いていると、
さっきのように水が流れ込んでいる池を見つけた。
水が流れてきている穴はどこかに続いているようだ。
「どこかに続いているかもしれないな行ってみよう」
とのカノールの言葉に賛同した私だったが、
正直後悔した。水の流れに逆らって進むのはとても大変なことだった。
それでもなんとか進んで行くが歩みはものすごく遅い。
で、結局辿りついた場所は、一番最初に水流にあたった場所だった。
くたびれ損に肩を落としながらまた、水の流れに任せて下に引き返す。
途中で、エネルギーパックを見つけたが、収穫はそれだけだった。
再び水から上がり、奥へ進んで行く。
ロボット達の攻撃は激しくなっていく一方だった。
それに加え、緑の筒に二本の足がついた奇妙なロボットまで出現した。
そいつは一ヶ所に留まり、近づいてきたものにエネルギー弾の攻撃を仕掛けてくる。
まあ、エネルギー弾は前後にしか撃たないので横に回れば比較的楽に倒せたが。
ただ、他のロボットが横に回るのを阻害した為少し厄介だった。
それらを打ち破り、進んで行くと、
「階段?」
私達の目の前に下へ続く階段が出現した。
あくまで、洞窟の底を削り出して作ったものだが、人工物には違いない。
やっぱり、ここは、通路か発掘か何かに使われていたのだろう。
階段を降りて、下層へと降りて行く。
洞窟の下層は、更に暗く、陰湿な場所だった。
「なに?あれ」
ウニョウニョと、体全体をくねらし、薄い光に包まれた蛍光色の物体が近づいてくる。
ええと、あれ。アメーバー。それが私達の体ぐらいの大きさに巨大化した物。
「もといた生物が突然変化でも起こしたのか?」
カノールはそう言ったが、何だか良く分からない。
ただ、こちらに敵意を持っていることは確かだ。
接触してきて体の一部を伸ばしてくる。それに触れられた途端服が溶ける。
慌てて銃でそいつを撃ち払う。
周りには、アメーバーがうようよいる。そいつらを避ける様にして私達は、先へ進む。
「うわっ!!なんだ、これ!!」
先を進むカノールが声をあげて尻餅をついた。
カノールが避けたそれを見て、私も声をあげる。
「ちょっと、何これ!!こんなのアリ!?」

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地面が急に盛りあがった。
「うわっ!!なんだ、これ!!」
俺は、本能的に後ろに飛びのいた。バランスを崩し、尻餅をついてしまう。
「ちょっと、何これ!!こんなのアリ!?」
ラーニアが後ろから悲鳴を上げる。
俺は、地面を盛り上げたものを再び見つめる。
銀色の巨大なトゲ。正方形の大きな金属板に鋭利な円錐が取りつけられたもの。
こいつが地中から突き出してきたのだ。
上に乗ると、地中から飛び出し、獲物をぐさりと突き刺す仕組みだろう。
アメーバー状の変な物体や他のロボット達には反応しない。
外敵だけに反応するように作られているのだろうか?
しばらくすると、銀色のトゲは地中に戻りまるで何もなかったかのように
普通の地面に戻ってしまった。
とんでもない罠だ。もちろんこれだけではないだろう。
この洞窟のあらゆる所に仕掛けてあるのだろう。
上に乗ってから罠が発動するまで、若干のタイムラグはある。
だから、避ける事は不可能ではないが、気を抜くと失敗する。
それに、ロボット達の攻撃にも対処しなければならない。
これから先を進むのは、かなり厄介だ。
カノールちょっと来て!」
いつの間にか、ラーニアは、ここを離れていた。
ラーニアの通った場所には罠はなかったようだ
俺は、慎重にラーニアの方へ向かって行った。
ラーニアは、上層から水が流れ落ち、滝となっている場所に佇んでいた。
「この滝がどうしたんだ?」
俺が問うと、ラーニアは、滝の奥のほうを指差す。
穴のような物が見え隠れしている。と、いうことは…。
ラーニアは、滝の中へ入っていった。俺もそれに続く。
やはり。滝の後ろには、ちょっとした広さの空間があった。
ここにはロボット達は入ってこない。ゆっくり休めそうだ。
「あら?何かあるわよ」
その部屋の奥にまた、例の倉庫があり、中にはエネルギーパックがあった。
「他の滝の裏にもなにかあるかもしれないわね」
ラーニアは言う。確かにもっと強力な武器があるかもしれない。
休んだあと、俺達は、また別の滝を探しつつ奥へと進む。
罠とロボットの攻撃を避けながらは、大変だったが、
それでも何とか、別の滝へと辿り付く事が出来た。

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「おい、あんまりパック無駄遣いするなよ」
と、カノールが怒鳴る。
しかし、その声は、すぐに銃声にかき消される。
「そんなこと言ったって…」
敵が多い。私は、ひっきりなしに銃を撃ちつづける。
さっき入った滝の裏では、かなり強力な武器を手に入れることができた。
強力な電磁波を発し周囲の敵に大ダメージを与える。
のだが、消費するパックがあまり手に入らないので、乱射できない。
結果、手持ちの多いパックを使う武器を使っていたのだが、
それでも、パックの残りは大分少なくなってきてしまった。
飛び出すトゲをかわすことに神経を使っている今、
銃を効率的に撃っていく事など出来なず、パックを無駄遣いしてしまう。
これは、仕方ない…、と思う。うん。撃つのを止めると、すぐ敵に囲まれちゃうしね。
トゲをかわし、銃を放ちつつ、私達は、少しづづ先へと進んでいった。
途中には、例の緑色のロボットがとうせんぼしているところもあった。
倒して先に進むとその先には、エネルギーパックが置かれていた。
少しだけだがは、パックの補充になった。
ラーニア危険だ!」
しばらく進んだところで、突然、カノールが、足を止めた。
「ここは有毒ガスが充満している」
私達の行方を塞ぐのは、薄い霧。
少しばかり見えにくいかもしれないが、先に進めない事も無いように思える。
しかし、スキャンには、有毒物質が存在すると言う旨の警告がでている。
重いからと言って、ガスマスクを持ってこなかったのは、失敗だったかもしれない。
仕方なく、私達は、別のルートを進んで行く。
途中、緑色のロボがとうせんぼしている滝もあった。
何か、重要な物があるのかと思ったが、中にはエネルギーパックしか無かった。
ロボット達が入って来れないので、ゆっくり休養を取る事は出来たが。
その先に進んで行くと、緑色が護っている上層への階段が表れた。
前後以外に攻撃できないのは知っている。斜めから銃を撃ち、緑色を撃破する。
そして、追撃してくるロボットを銃で蹴散らしながら、階段を上っていく。
「…、何か、あるな」
上りきったところで、カノールが言う。
トレジャーハンターの本能が、危険を察知している。
前方に何か嫌な気配を感じる。
それに、さっきまでしつこく追いかけてきた、ロボット達もここまでは来ていない。
辺りを警戒しながら、細めの一本道をゆっくりと進んで行く。
そして、ある程度進んだとき、急に視界が開けた。
結構な広さの空間。私達は、その空間に足を踏み入れた。
そして…、そして、その中央に佇む巨大な影は………。

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俺達は、左右に跳び退いた。
さっきまで俺達が居た場所には、三日月形をした巨大なエネルギー弾が命中する。
体制を立て直し、その、三日月を発したやつに銃口を向ける。
昆虫。そう、そいつは昆虫の形をしていた。
全体的なフォルムはクワガタに良く似ている。
本体から突き出た六本の細い足のうち、前二本は変形していて、
カマキリのような鋭い鎌の形をしている。
その鎌を振り下ろすと、どういう仕組みかは知らないが、三日月が発せられる。
ロボットかとも思ったがそうでもないらしい。
この特殊な環境で異様な進化を遂げた蟲が機械を取りこんだのか?
そう考えている内に、そいつは、間接のある足をせわしなく動かし、 こちらに近づいてくる。
後ろに下がると、壁が背中にあたる。もう、後ろには下がれない。
後ろの壁に気を取られた隙に、やつは鎌をこちらに振り下ろしてくる。
かろうじて直撃は避けたが、かすってしまう。
うぅっ、傷口が痛む。
慌てて俺達は、巨大昆虫の横をすり抜け背後にまわる。
これで、三日月攻撃は無いだろう。俺達は、銃を連射する。
しかし、固い殻に阻まれ、なかなか致命傷には至らない。
と、今度は、尻から緑色の泡を吹き出す。泡が服に当たり、ただれる。
「やつの泡は強酸だ!身体は毒の体液で覆われている」
俺は、泡から逃げながら大声で言う。
「あの三日月は何なのっ」
それでも、攻撃する手を休めずラーニアが聞き返してくる。
「歯動拳じゃないか」
ラーニアは、俺の答えには、反応せずに黙々と攻撃を続ける。
…、やっぱり、つまらなかったか…。
などと、落胆している場合ではない。やつがまたこちらへ近づいてきている。
やつとは逆の方向へ走りながら、時々、後ろを振り返り銃を撃つ。
ラーニアは、攻撃を避けながらも銃を確実に撃ち続けている。
いつもながら、凄い腕だ。俺も負けずに攻撃を続ける。
しばらくして、攻撃を跳ね返していた殻もぼろぼろになり、
ダメージを与えられるようになった。
そして、ついにやつは絶命した。どこか機械の部分が破損したのだろう。
ズガーンと派手な音を立て、爆発が起きる。
やつの身体も吹っ飛び、紫色の体液が飛び散る。
そして、ぐちゃぐちゃになったやつの死骸が眼前にころがる。
「ふうっ、とんでもないやつに出くわしたもんだ。ラーニア、大丈夫か」
俺は、ラーニアの方を向いて言った。
「ええ、私は平気よ。…カノール…、あれは…」
ラーニアは、死体の方を見て言った。
やつの腹に収められていた物も周囲にぶちまけられている。
「……さしずめ、この化け物に襲われた人達の遺品ってとこだな」
「かわいそうに…」
ラーニアが悲しそうな顔をする。
俺は、やつの死骸を見つめた。一体やつは、何者だったんだろう。
と、ぶちまけられた遺品の中に俺は、ある物を見つけた。
俺は死骸に近づいて行く。異臭がひどくできれば止めたかったが仕方が無い。
そして、遺品の中からそれを拾い上げた。
ラーニア、見てごらん。ガスマスクだ。使えそうだぞ」
ガスマスクを掲げ、ラーニアに見せる。
「うそ…。そんなのを付けるつもり?」
ラーニアが怪訝そうな顔をして、ガスマスクを見つめる。
それは、まあ、俺も出来る事なら付けたくないが。
「ガスのはっている所を抜けるためには仕方がないさ」
そう言ってラーニアをなだめる。
ラーニアも仕方ないと思ったのだろう。
ふうっと、小さくため息をついてガスマスクを受け取った。
巨大昆虫の広間には、俺達の入ってきた通路の他にも通路へ出る場所がある。
そのもう一つの通路には、ガスが充満している。
早速、俺達はガスマスクを装着することになった。
ガスマスクには、やつの体液がまだ少し付いている。
布で拭うが、嫌悪感は納まらない。
やはり、実際に装着するとなると、少し勇気が要る。
吐きそうになる感覚をどうにか抑え、装着する。
「よし、行くぞ、ラーニア
「毒ガス、早く抜けようね。この変な臭いで死にそう…」
マスクに隠れてラーニアの表情は見えないが、相当嫌な顔をしているだろう。
マスクに染み付いた臭いは当分消えそうになかった。

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「ふうっ。もう少し長かったら、危なかったわ!」
私は、ガスマスクを勢い良く外した。
そして、大きく深呼吸をする。新鮮な空気が肺を満たす。
ああ。空気ってこんなにおいしかったのね。
確かに毒ガスを吸い込んでしまう事は無かった。
だけど、この鼻をつく腐臭、これはきつかった。
「へえ〜、こんなところに続いていたのか〜」
カノールは、やけに呑気な声で言った。
…、臭い大丈夫だったの?カノール
と、思いながら、カノールの向いている方を私も見る。
ここは、一番最初水に流されて辿りついた場所。
何か逆戻りしてしまったような気もする…。
本当にバルティモアに辿り付く事が出来るのかしら。
そんな不安と共に、殺気を感じる。また例のロボットだ。いつの間にか囲まれている。
私は、本能的に銃のトリガーを引いた。
銃弾を受けて後退する敵。そこにすかさずカノールが銃を放つ。
これで、敵の包囲が一部崩れる。そこから、包囲の外に抜け、残りの敵を潰していく。
私達は、もう一度同じ道のりを突き進んで行った。
「他にも、ガスで通れなかったところがあったはずだが」
走りながらカノールが言う。
「またガスマスク付けるようなところに行くの?!」
私が叫び返す。ちょっと、あの臭いは、勘弁して欲しい。
「重要なところには、いつもガスかなんかで防がれているものなのさ」
カノールは、そっけなくそう言う。
つまり、仕様が無いって事よね。結論は。
「分かったわ。我慢すれば良いんでしょ」
ちょっと、語尾を荒げて言う。
カノールは、わざと顔をそらして頷いた。
そうこうしているうちに、私達はまた、階段を降りて、
地中から飛び出す罠と、アメーバーやロボット等をかいくぐり、
目的の毒ガス封鎖地帯に辿りついた。
いやいやながら、ガスマスクを付けて、毒ガスの中を行く。
そして、それを抜けた先から、明るい光が漏れている。
もしかして、バルティモア
そう思って、駆け出そうとする私にカノールが制止をかけた。
「ちょっと待った。他にも毒ガスで通れなかった場所があるだろ」
「そっちにも行こうって言うの?」
私は、カノールを睨む。
だって、また、ガスマスク付けなきゃいけないんだよ。
「そう言うなって。行けるところは全て行くのが、洞窟探索の基本だろ」
カノールが私を睨み返す。
何か、本来の目的から反れている様な気もするけど。
まあいいわ。また武器があるかもしれないしね。付き合いますか。
私は、渋々了承する。
「ただし、このつけはちゃんと払ってもらうわよ!」
先に行くカノールは、この言葉を聞いて、一瞬身体をびくつかせた。
……冗談だってば……。

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「やっぱり、来て良かっただろ」
俺は、シャッター付きの棚から、たった今見つけた銃を取り出した。
ラーニアには、嫌がられたが、やはり来るべきだった。
エネルギーパックこそ使うものの、エネルギー弾を連射できるこの銃は、
この先の旅に大いに役に立つことだろう。
…だから、その、ふくれっ面。いい加減に、止めてくれないかラーニア
相当、機嫌が悪い様だ。何も見つからなかったら、どうなっていた事か。
いや、この気味悪いガスマスクを付けるのをためらうのは良く分かる。
俺も出来れば付けたくは無い。
でも、トレジャーハンターとして、
これくらいの障害は乗り越えなければいけないのではないか。
そうでなければ、みすみすお宝を逃してしまう事になる。
「何、ぶつぶつ言っているの?」
ラーニアがいぶかしげな表情でこちらを見る。
うっかり声に出していたのか…。
「いや、悪かったよ。でもさ…」
俺が言いかけたのをラーニアがさえぎる。
「はあ。別に怒ってるわけじゃないって。
新しい武器も手に入ったし、それで良いから」

足早に進みながら、ラーニアは、投げやりに言う。
カノール、それ貸して」
再び毒ガスを抜けたところでラーニアが言う。
俺は、さっき手に入れた武器をラーニアに手渡した。
ズガガガガ!!銃を手にした途端、連射を始めるラーニア
それをまともに受けて、周りにいた敵は次々と爆発していく。
…って、怒ってるじゃないか…。
俺は彼女の怒りに触れない様、それ以上何も言わず、後をついていった。
「ようやく、先へ進めそうね」
さっきの灯りの漏れてくる場所へ辿りつくと、ラーニアは、そう言った。
灯りに照らし出されたラーニアの顔は、さっきよりは少し穏やかだ。
俺は、ふうっと息をつき、胸をなでおろす。
「さあ!行きましょう!!」
ラーニアは、灯りに向かって、歩き出した。



Die Bahnwelt


to be continued ...
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