『エメラルドドラゴン』でヒットを飛ばしたグローディア制作の RPG 風 SF アクションゲーム。
グローディア初にして最後の X68k オンリー作品。トップビュータイプの画面構成で見た目は フィールド RPG だが、
内容はバリバリのアクションゲーム。8方向スクロールのフィールドを駆け巡り、銃タイプの武器を使い敵を撃ち倒していく。
特記すべきは、プレイヤーの操作するキャラクターの他にパートナーがいる事。
パートナーは、自分で行動を決め、移動・攻撃を行いプレイヤーを補佐する。
リアルタイムで行動するにもかかわらず、このパートナーの行動はなかなか優秀で、
プログラマーの技術の高さを伺わせられる。
ゲームの流れは、グローディアの RPG 『エメラルドドラゴン』や『ヴェインドリーム』と同じく、
フィールド上の特定イベントをこなしていく形式になっている。また、一本道のシナリオでマルチエンディングや、ストーリー分岐などは無い。
グローディアお得意のビジュアルシーンも健在であり、要所要所で物語を盛り上げてくれる。
物語は、とある事件で異次元に飛ばされたトレジャーハンター達が、この世界の謎を解きつつ
元の世界に戻る方法を探していくというもの。一本道ながら、起伏があり、楽しめる展開になっている。
SF と言う設定を生かしつつ、クールで少し寂しげなストーリー。
バリバリに SF を誇示せず、世界観や物語の面白さを伝えているのには好感が持てる。
X68k 用にグラフィックデータなどで大量のディスク容量を使う為でもあろうが、
物語としては、少々短めなのが残念である。
ゲームシステムは、当たり前の事をきちんと行っている、実に気持ちの良いものである。
操作性は、特に悪いところは無く、操作しやすい。マウスに対応していないのが残念だが
この時期のアクションゲームの風潮を考えれば仕方無いことだろう。
スクロールやキャラの動きも滑らかである。ただ、X68k ゲームは、全般的に動きの滑らかさは
優良な為、『バーンウェルト』が特別というわけでもない。
アクションゲームとしてもそれなりの難易度を持っている。
アクションゲームが難しすぎてシナリオを満喫できないと言う事を防ぐ為、
強力な武器を使うことによって、比較的楽に敵を倒せるようになっている。このようなメーカーの心配りは、ポイントが高い。
もちろん、ゲーム性を失わないように強力な武器でもボス戦等は苦労するようにはなっている。
ただ、セーブ出来る場所が限られているのが少々難か。
グローディア特有の『相談システム』も存在する。これは、好きな時にパートナーと会話できる
システムである。他のグローディア RPG もそうだが、ゲームのヒントやキャラクターの性格が
分かるこのシステムは秀逸である。
グラフィックは、フィールド、ビジュアルシーンとも、言うまでも無く綺麗である。
X68k のビジュアル機能を有効に使っている。また、X68k アクションゲームでは珍しい
解像度 512*512 dot の画面(他のは、速度優先の為もっと解像度を落とす場合が多かった)
であり、グラフィックの緻密さは感動さえ覚える。
音楽は、どちらかと言うと、RPG 風の曲であり、比較的綺麗な旋律の音楽が多い。
しかし、物語要素の強いこのゲームでは、ロックバリバリの音楽よりも、
このような音楽の方が盛り上がりと言う点で大きな効果を与えていた。
これらの素晴らしい要素で構成され、それらが織り成す相乗効果が感動を呼ぶゲーム『バーンウェルト』
しかし、X68k においてはどちらかと言えば人気薄なストーリー系ゲームであり、
PC-98 から見れば X68k のゲーム市場は小さかった。その為、世間一般では認知度がかなり低い。
実に残念ではあるが現実である。
出来れば、もっとこのゲームを沢山の人にプレイして貰いたいのだが、
既に X68k は(市場的には)過去のパソコンであり、当然 X68k 専用である
このゲームも、入手困難な状況になっている。
この素晴らしいゲームをこのまま闇に葬り去るのはあまりにももったいない。
及ばずながらも、このゲームの良さを少しでも多くの人に知ってもらおうと、このページを作成した。
もちろん、違法行為につながるような事は出来ず、制限されてしまうこともある。
それでも、出来る限り『バーンウェルト』の素晴らしさを伝えていこうと思う。