・・・やめよう。
もう5年も経ってるし。忘れてるよ。
でも・・・。
・・・・・・・。
「・・・、どうしたの?」
「・・・、帰り方、わかんない」
「だいじょーぶ。この森のことならまかせてよ」
「おばあちゃんのとこに、帰れる?」
「うん、帰れるよ」
「ありがと!」
「ねえ、あしたもあそぼうよ」
「ダメ。あした、おうちに帰るんだって」
「じゃあ、こんど、いつくるの?」
「うーんとね、なつやすみ!!」
「この森で会うと、また会えるんだって」
「ふうん。じゃあ、こんどのなつやすみも会えるんだ」
「うん、会えるよ」
「おばあちゃん、うちにひっこすんだって」
「じゃあ、らい年来れないんだ」
「うん。もう会えないね」
「だいじょーぶ。もっと大きくなったら、一人で来れるよ」
「どのくらい?」
「あと、5年くらいしたらかな」
「・・・それじゃあ、5年したら、また来るね!」
「うん。この森で会おう。やくそくだよ!」
・・・、そうだ。約束したんだ。守らなくちゃ。
この森だよね。なんかあの時よりも小さいような。
こっちに行けばいいんだよね。あれ、そっちだったかな?
うーん。こっちでいいんだよね。
・・・、この森で出会えたんだから。
─── もう一度逢おうね。
もう一度、逢えるよね。