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Inserted: 02-13-2002

"war tron VERSNAG" complement
Copyright (C)1993 Family Soft Co., Ltd.

 I n t r o d u c t i o n ― [ 紹 介 ] 

■ ヴェルスナーグ戦乱 -war tron VERSNAG- Copylight (c)1993 Family Soft Co., Ltd.
ロールプレイングゲーム
1993年5月頃発売
株式会社 ファミリーソフト

 当時、ガンダムのシミュレーションゲームで有名であったファミリーソフトが 出した X68k 専用のロールプレイングゲーム。 発表自体は、かなり前からあったのだが、開発が何らかの理由で延びたらしく、 「ようやく」発売されたという印象が強かった。 アクションゲームが主体である、X68k で、 あえてオリジナルのロールプレイングゲームを出した、という心意気は買いたい。 しかし、当時、勢力を失いつつあった X68k ゲーム市場に、 人気の薄いこのジャンルを出すという行為には、少なからず疑問を感じた。

 ゲームは、街や村などのコマンド選択パートと、 ダンジョンや森などのフィールド移動パートを交互に繰り返して行く。 フルマウスオペレーションで、全てマウスでゲームを進めていく。
 コマンド選択パートでは、買物や宿泊、街の人々との会話を行う。 また、フィールド移動パートの各ステージへの移動もここで行う。 フィールド移動パートでは、上から見下ろしたステージを進んでいく。 進み方は特殊で、一歩ずつ歩いていくというものではなく、 一画面づつを上下左右に進んでいく。丁度、3D迷路ゲームの一マスが、 フィールドの一画面に対応した感じだ。進んだ先の画面で敵に出会うと、戦闘となる。 フィールド画面がそのまま戦闘の舞台になり、シミュレーションゲームの様に 敵味方のキャラクターが、順番に移動や攻撃を繰り返して行く。 味方キャラクターは、勝手に行動をしていくため、基本的にプレイヤーは、 各キャラクターの行動パターンを指示するだけで、後は、見ているだけで良い。
 残念ながら、私はほとんどプレイした事が無いので、良く分からないが、 このゲーム全体の感覚は、最近のPCで良く見られるシミュレーションRPGに 近いのではないかと思う。

 ストーリーは、かなり重い。ネタバレになるので、ここでは詳しく書かないが、 終盤へ向けての展開は、心にズシンと響くものである。 世界観としては、「魔法文明の廃れた世界」という設定がなかなか凝っていて興味を引く。 ストーリーの根幹もこの設定を生かしていて楽しめる。 しかし、ゲームの通常のシーンでは、その設定が分かりにくいのが難点だ。 街では、コマンド選択であり、会話シーンも少なめなので、 街の人々の生活感があまり伝わらない。 また、戦闘シーンでは、「流使法」という術が、魔法の様に機能している為、 「魔法」が極めて特殊な存在である事が伝わりにくい。
 各ステージの移動は、街等のコマンド選択で行うのだが、 ここでは、固定絵のテキスト中心のため、各地を巡り歩くという フィールドタイプのロールプレイングの醍醐味が失われてしまっていて、残念である。 フィールド間を移動する時は、全体マップを表示して移動していくシーンを 加えるなどして、視覚的に訴えた方が良かったのではないか、と思われる。

 ゲームシステムは、もっと練って欲しかった。
「3D迷宮を上から見下ろした」ような移動方法は、斬新とは言えないかもしれないが、 結構面白いものだった。しかし、それを生かしたステージが少ないというのが残念だった。
そして何より、全体的に操作が面倒くさいというのが問題だった様に思われる。 コマンド選択のウィンドウは小さめで、選択しにくいし、 選択しても画面上変化が乏しく、何かを行ったという感覚が少なかった。 また、コマンド選択後に無意味にマウスのクリックを要求される場合もあり、とても煩わしい。 フィールド移動もマウスで方向アイコンを押すという方法だけでなく、 キーボードで移動出来るようにしても良かったのではないか。 全体的に何故か動作が遅く、いらいらする場面も多々あった。
 戦闘シーンでの各キャラクターの行動もおかしく、すぐ全滅してしまう。 行動指示を与えればそれなりにはなるのだが、どういう指示を与えればどうなるとういう 法則が直感的につかみづらく、最初のうちは何をして良いのかすら分からない。 慣れてきても、うまい具合に指示を与えるのは難しく、戦闘はかなり苦痛であった。
 オートマッピングシステムは無く、自分でマッピングしなければならない。 確かに、オートマッピングしてしまうと面白さが半減するステージもあるのだが、 それはそれで、わざと間違いのオートマッピングをしたりして混乱させるという 方法もあったのではないか。マッピングに気を取られてストーリーが楽しみずらくなって しまっていたように思える。

 と、まあ、文句ばかりつけてしまったが、「ヴェルスナーグ戦乱」が 嫌いかというと、そうではない。はっきり言って、個人的に好きなゲームである。
 グラフィックも綺麗な部類に入るだろうし、世界観にマッチした風景も美しい。 キャラクターの絵も結構好みである。決して、万人受けはしない、どちらかと言えば強面なのだが、 何かしら影を持った主人公達の性格を表していて好感が持てる。
 物語を彩る音楽も素晴らしい。それぞれのシーンで感情を高揚させ、 ストーリーに厚みを持たせている。また、街では、ほっとする穏やかな音楽が、 緊迫したシーンでは、張り詰めた音楽が流れ、主人公達への感情移入を手助けしてくれる。
 先に述べた様に、シナリオや世界観も重厚であり、主人公達の個性も引き出されている。 ゲームが終わった後にも心に残るストーリーである。
 ただ、それだけに、ゲームシステムがいまいちであるのが残念なのである。 難易度が高く、確かに「やりこめる」ゲームにはなっていたと思う。 しかし、あまりの操作性の悪さに途中でゲームを投げてしまった人も多いのではないだろうか。 戦闘シーンも、主人公達をもっと賢くして、戦略的な手法を取りやすくしても、 それに応じ、難易度を高くする事も出来ただろう。 一番最初の小手試しのステージでの難易度の高さも気になる。 最初は易しく。徐々に難易度を高めていくというように、ゲームバランスにも気を配って欲しかった。

 万人受けするゲームではないと思う。しかし、最後までプレイし、 是非、「何か」を感じ取って欲しいゲームである。 この「補完」ページでは、途中でくじけてしまった人達の為に 「ヴェルスナーグ戦乱」の攻略をしていきたいと思う。 また、ゲームを知らない人達にも、世界観の断片だけでも伝えられればと思っている。

P.S. …、アンケートの「今まで一番面白いと思ったRPG」に『エメラルドドラゴン』と 書いたのは、私です。ごめんなさーい(汗)



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